ELS 一覧

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2001年の5月から2003年の5月まで、丸々2年間、当時現役の留学生だったトシエさんが MIYACO に寄せて下さった日記です。当時から大分月日が経ちましたので、現在のアメリカ留学・生活事情にそぐわない箇所もありますが、当時の貴重な記録として、また、ひとつの読み物としてお楽しみ下さい。 【目次はこちらです】

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9.11 テロ

#27. (2001年09月15日)

9月に入ってから日記を1度も書いてないことに気づきました。特に忙しいわけではなかったのですがやらないといけないことがたくさんあると思うと、気ばかり焦って落着いた日がありませんでした。

その矢先に先日のテロ事件。今日はこのことについて書きます。

その日は火曜日だったため、私とルームメイトは朝の8時から授業がありました。授業は9:15に終わりました。私はその午後、学校内の学生会館にある郵便サービスをしているところで切手を買いたかったので行きました。そこは地下にカフェがあったり、ビリヤード台やコンピュータがあり、切手も売ってるちょっとこじゃれた場所です。

祖母の誕生日が近かったので切手を買って、椅子に腰掛け、切手を封筒に貼っていると、何人かの人が大画面テレビに釘づけになっていました。私も興味本位で画面を覗きました。するとそこには見覚えのあるビルから炎が吹き出ている画像が映し出されていたのです。

NY のワールドトレーディングセンターでした。私は最初その画面を見たとき、(え? なんでこんな高いビルで火事出すの? 誰が消すの?)ぐらいに 思っていました。テレビの音声があまりよく聞こえなかったので、テレビを後にし、アパートに戻りました。

アパートに戻ると、すごく疲れていたのでテレビもつけずに1時間ほど昼寝(というより、まだ午前だったのですが)をすることにしました。午後の1時から私自身のクリニック(ライティングセッション、要するにクリニックに必要な文章の書き方のレッスン)があったのと、7時から授業があったので、11時ごろ起きてお昼ご飯を作りました。

そうだ、さっきの「火事」はどうなったのかな? とテレビをつけると、何やらテロらしいと報道してるではないですか! しかも飛行機がぶつかった?! 私はなんのことやら理解できず、テレビを見てました。するとそのとき日本の母から電話があり、両方の情報を合わせてやっと事態が飲みこめました。

テレビのテロップでは近所の大学や学校が閉鎖になっているので、うちの学校はどうなるのだろうという話になり、まだ学校から戻って来てなかったルームメイトの携帯電話に電話しました。でも通じません。するとまもなく彼女が戻って来て「昼からの授業は全部休講」とのこと。それから2人でテレビを見始めました。

しばらくして2人で、もし避難勧告なんかが出たらこの格好じゃだめよね、夜は寒いし、やっぱりシャワーを今のうちに浴びておいたほうがいいかな、身の回りの物、お金とかパスポート、バッグに詰めておこう…、ということになったのです。

「これって大げさだと思う?」という彼女の質問に「そんなことないよ、何が起こるかわからへんもん」と答えました。彼女は台湾で大きな地震を、私も阪神淡路大震災の体験者なのでこれをオーバーリアクションだとは思いませんでした。

私がリュックに詰めたものはお金、パスポート、めがね、コンタクトのケース、 2~3日分の着替え、ルームメイトとボーイフレンドからもらった小さめのぬいぐるみ2つ(?)、ボーフレンドと写した写真、それと、ルームメイトと2人で使うためのトイレットペーパー2ロール…。

そしてお互いシャワーを浴びた後は1日中テレビを見てました。幾度も繰り返される悲惨な映像、リポーターの悲痛な報道、泣き叫ぶ人々、ブッシュ大統領の声明…。どれも日常からは程遠いもので、何度も涙をこらえながらこの現実を受け止めていました。

私の町はオハイオ州のケントという町で、車で30分ほど行くとグッドイヤーで有名なアクロンがあり、1時間ほどでクリーブランドに行けるところです。どちらの町にも空港があり、その日はすぐに閉鎖されました。

墜落事故があったペンシルベニア州はすぐ隣の州で、墜落事故のあった町はピッツバーグ近郊ということですので、これまた車で1~2時間で行ける場所です。ですから「他の町の出来事」ではなく、あの飛行機があと10数分長く飛んでいたらと思うと恐ろしいです。方角的に私たちの町へ飛んで来ていてもおかしくはありません。

今こうして平和に、そして愛する人や家族に出会うことができることを非常に感謝します。昨日献血に行ってきたのですが、後で連絡をもらってから、必要な血液だけ提供するという形をとってました。テレビでも不足しているのは Rh- の O 型だと放送していました。今のところ献血はしてないのですが、何かの形で応援をしたい気持ちでいっぱいです。

日本ではもうあまり報道はしてないと思いますが、アメリカ国内はまだまだ毎日このニュース一色です。行方不明者もまだ多数います。見つかった 「遺体」は DNA 鑑定により特定するそうです。

皆さんもこの事件を他国の事件だけとは捕らえず、どうかテロや平和や国の秩序といったものに対して関心を持ってください。国内は今もなお「半旗」が悲しげに翻っています。【第28話へ】

カリフォルニアミラマー大学

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