FLS オンライン留学

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2001年の5月から2003年の5月まで、丸々2年間、当時現役の留学生だったトシエさんが MIYACO に寄せて下さった日記です。当時から大分月日が経ちましたので、現在のアメリカ留学・生活事情にそぐわない箇所もありますが、当時の貴重な記録として、また、ひとつの読み物としてお楽しみ下さい。 【目次はこちらです】

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スピーチパソロジーのクリニック

#41. (2002年03月01日)

あっという間に2月が終わってしまいました。日本は卒業のシーズンですね。というわけで今日はまじめな話をしましょう(いつもまじめな話のつもりなんですが)。

この日記を書かせていただくようになってから1年近くになるのですが、私がどんな勉強をしているのか、もひとつ分かっていらっしゃらない方も多いと思います。 最初の日記に「スピーチパソロジーの勉強をしています」と書きましたが、実際にどういうことをするのか知らない人多いですよね。では、今日はそのお話を。

この日記が始まったころがちょうど修士のコースがはじまったころでした。修士コースを修了することと、国家試験に合格することと、350時間のクリニックがスピーチパソロジストになるには必要です。

この350時間も3ヶ所でのクリニックが必要で、1つは大学内、あとの2つは小中学校や病院などでの研修です。

大学の学部のある建物自体が実はクリニックになっていて、子供、大人、お年寄りが毎日やってきてクリニックを受けます。で、私たち学生クリニシャン(またはセラピスト)がそのクリニックにあたるわけです。要するに「素人」です。でもやって来るクライアントはみんなそのことを知っているので大丈夫です。一応勉強してから(あるいはしながら)ですので安心してください。

さて、私が今学期担当しているのは39歳の男性、いわゆる日本語で言う「自閉症」 (厳密に言うとこの訳は当てはまらないのですが)の人に言語とコミュニケーションを、14歳の男の子に発音を教えています。はい、図々しくもアメリカ人に英語を教えているのです。勉強も大変ですが、このクリニックの準備も大変なんです。

まず39歳の男性には毎週違った熟語カード、前置詞カードやパラグラフカードを作ってます。それも、彼の興味のある内容を踏まえて自分で作ります。その後、必ずボーイフレンドに内容をチェックしてもらって実際に使います。でないとネイティブの人にウソは教えられませんから。

その彼が昨日、初めてとも言うべき、クリニックをキャンセルしたのです! 実は今週の水曜日の夜から「エリー湖寒波」に見舞われ、このあたりは大雪でした。水曜日の授業が終わってアパートに帰ると学部から留守番電話が入っていて、この39歳男性が天候を気にしていて、もしかしたら木曜日のクリニックをキャンセルするかもしれない、とおかーさんから電話がありました、との電話でした。だから、明日(木曜日)家を出る前にキャンセルされてないか確認の電話をくださいとのこと。次の朝、9時20分に電話をすると「キャンセルの電話はまだないわよ」とのことで出かけたわけです。ところが学校に着いたとたん、「今キャンセルの電話があって…なんかあんたの電話待ってたみたいよ」と、その日受付担当の友達がメモをくれました(留守番電話をくれた人とは別人)。「なんで私が電話するの待ってるの?」なんか変な感じ。その後しばらくして廊下で担当のスーパーバイザーに会いました。彼女、なんか怪訝な顔…。話を聞くと、彼女も同じようなメモをもらったのですが、それには「トシエからの電話を待っていたが、かかってこないのでキャンセルする」と書いてあり、「なんのこと?」と彼女に聞かれました。

私は朝、受付に確認の電話を入れるように聞いていて、彼のおかーさんに電話をするなんて話聞いてません! で、2人で受付に行って「ちょっと説明してよ」と詰め寄ると、どうやら彼のおかーさんが勘違いしていて、昨日しゃべった受付の人が「私」だと思ったらしいのです。だって、キャンセルするかどうか悩んでるのはそっちなの に、何で私が電話をしなくちゃいけないのでしょう? 結局おかーさんの勘違いということになり、私もアパートに戻ってから電話をしておくことにしました。

夕方は中学生の男の子です。彼には無声音の "th"、"s"、それと "l" や "r" が 何度も出てくる単語を文章単位で発音できるように指導してます。これって日本人のわたしがやるのは大変なんです。"l" と "r" ですよ。このクリニックの間は彼に 「日本人は "l" と "r" の発音の区別ができないのよぉ」とは絶対に言わないようにするつもりです。(もう10年も知ってます)って顔して指導してるのです。でも時々、担当のスーパーバイザーが隣の部屋からやって来て、発音の間違いや、私が気づかなかった彼の間違いを指摘してくれます。隣の部屋では彼のおかーさんも見学してるので緊張しますよぉ。

昨日はもう1人アメリカ人の学生が見学してました。でも、ちゃんと彼の発音のおかしいの、指摘して直してあげてるのです。いくらネイティブのおかーさんだからといって、その音をどうやって出しているとか、間違ってる人にどうやって指導するか知らないですからね。昨日彼が苦労した発音は "thesis" (論文)(発音がカタカナで書けない!)。なんべんやっても、 "the~" って言った後に、なんか変な "r" みたいな音が入るんです。でも最後には「わかった!」って正しく発音してました。さて、来週も同じように発音できるか…。

帰宅後、例の39歳男性宅へ電話をしました。別に私が悪かったわけじゃないですが、 一応お謝りをしておこうと思いまして。彼のおかーさんとは電話で何度か話したことがありますが、感じのいいひとです。それに、このクリニックが効果をあげているといつも感謝されます。昨日もしばらくしゃべっていると、彼が電話に出たいといったみたいで、なんと彼と電話で話をしたのです! これってすごいことなのかなぁ。実はこの日クリニックでやろうと思っていたことは、電話でのコミュニケーションだったのです。クリニシャンの一番大事なことはクライアントとの信頼関係です。この2人、少しずつ私に慣れてきた様です。

39歳の彼と電話で話したことをその後ボーイフレンドに話すと「ちょっとジェラシィ~」って言ってました。クライアントが心を開いてくれたり、そのご両親がクリニックに満足してくれたとき、そして彼らが成果を発揮してくれたときがスピーチ パソロジーの道を選んでよかったなぁと思うときです。【第42話へ】

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