2001年の5月から2003年の5月まで、丸々2年間、当時現役の留学生だったトシエさんが MIYACO に寄せて下さった日記です。当時から大分月日が経ちましたので、現在のアメリカ留学・生活事情にそぐわない箇所もありますが、当時の貴重な記録として、また、ひとつの読み物としてお楽しみ下さい。 【目次はこちらです】
アメリカで料理の鉄人放映
- #53. (2002年7月1日)
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暇なので毎日テレビばかり見ています。普段は特に決めて見ている番組はないのですが、毎日見ているうちに何時にはこのチャンネルでこれを見てというのが次第に「確立」されてきました。そこで、今日はアメリカのテレビ番組について話したいと思います。
ケーブルテレビをひくと何十チャンネルというチャンネルが楽しめます。でもそのどれも見ているわけではなく、やっぱり特定のものに決まってきます。1日中料理番組を映すチャンネル、歴史のチャンネル、動物チャンネル、「メロドラマ」のチャンネルなどなど。私が特に好きなチャンネルは「フードネットワーク」という料理 ・食べ物に関する番組ばかり放送するチャンネルです。
夕方からボーと見ているだけで料理のヒントになるので毎日見ています。しかもこの局では唯一日本の番組が楽しめるのです。そうです、「料理の鉄人」(英名 "Iron Chef")を放送しているのです。この番組は結構アメリカ人にも人気があるようで、何度も繰り返し放送され、しかも週末の金・土・日にやっています。サンクスギビングには「13時間料理の鉄人マラソン」と題して1日中放送してました。
私のボーイフレンドも大ファンで、 特に三代目和の鉄人森本さんのファンです。森本氏はアメリカ人にも人気がある人で、最近 NY に自分のお店 MORIMOTO を開店させ、そのスペシャル番組をやっていました。ちなみにイタリアンの鉄人「K 氏」については「僕が見るたびに負けてる。あかんやっちゃ」と、たまに彼が出るときでも見ようとしません。
この番組は日本の番組なので、もちろん英語の吹き替えがされています。でもこの吹き替え、完全なものではないので、よーく聞いていると同時に日本語も聞こえてきます。また主宰の「加賀丈史」の声だけなぜか本人のもので、画面に字幕が出るのです。これは徹底されているので、他の人との掛け合いがある時は妙にややこしいいです。片方は英語で、加賀さんは日本語ですからねぇ。
他の出演者の吹き替えもわりと考えられており、本人の声やしゃべり方に似た声優さんの声になっています。加納典明の声は「どす」が効いてるし、岸朝子と細木数子の声は落着いた女性の声だし、 先日出ていた細川直美の声は、高めのかわいい声の人でした。関西の料理人、神田川敏郎のしゃべり方はなぜか訛っていて、しかもイントネーションもおかしく、英語で関西弁を表現しようと思ったらこうなるのかと感心するやらあほらしいやらです。
「福井さん!」も健在で、スタジアムからのアナウンサー(多くは太田アナウン サー)が「福井さん!」と呼びかけます。"Mr.Fukui" ではありません。それを受けて福井アナウンサーも "Go!" とか "Take it!" というわけです。材料の説明をする時は徹底して日本語の発音が使われています。どういうことかというと、例えば日本の「酒」はアメリカでは「サキー」、椎茸は「シータァキー」ですが、この番組に出演する人(声優)はかなり日本語の発音を練習しているようで、日本語の材料は全て日本語の発音で、変なアクセントなんかもありません。番組最後のクレディットを見ても声優は純粋なアメリカ人のようなので(勝手な名前からの判断ですが)、日本語風に発音する目的はなんなのかと思います。とにかく日本語のネイティブには心地良いですが…。
ボーイフレンドと時々首をかしげるのは、試食の際の出演者の料理に対するコメントです。英語を聞いていると、一体何を言っているのかわからない時があります。日本語というのは英語やその他のヨーロッパ語に比べてあいまいな表現が多いですからねぇ。それを無理やり英語に直してる感じで、確かに文法的には合ってるんですが、 アメリカ人なら絶対そんな表現はしないやろう、という表現なので理解に苦しむわけです。
また、女優さんが料理を一口食べてあまりのおいしさに口元を押さえて「おいしぃ~」と言ってる画面に "This is delicious!" というのもしっくりいかないのです。日本人は一般的に料理の表現が下手といわれていますが、その辺も関係があるのでしょうか。
しかしこの点を除くと、とても面白い番組で毎週必ず見ています。 ボーイフレンドも日本の食材が紹介されるので興味深く見てます。多くの場合、本 を読みながらとか、私のように真剣には見てないようですが…。
料理の話で思い出したのと、訂正しておかなくてはならないことがあります。去年の日記に "Nappa" という野菜の話をしましたが、これは実は「白菜」のことです。この話を書いたとき、値札が間違った位置に付いていたのでしょう。日本に住む妹から指摘があり、また私もずいぶん前から気付いていたのですが、書く機会がなく、今日になってしまいました。すいません。
それではまた。【第54話へ】